人の心を守るもの
私の体感的にはあっという間に1ヵ月が過ぎたのですが皆様はいかがですか?昨年の2月の原稿を見直してみると『防衛的露出』という人間の防衛行為について述べていましたね。ちょうど良い機会なので今月は他の防衛行為について紹介させていただきます。
そもそも人間には『防衛機制』と呼ばれる精神的安定を守る機能が備わっています。自分にとって危険な場面や傷つく可能性のある場面ではそれを上手く活用して窮地を乗り切ろうとするわけです。防衛機制には多くの種類があり、今回はその中の『投影』というものに絞って説明していきます。
投影の概念を簡単に説明すると『本当は自分の中にあるものを他人の中にあるものと捉えて自分を守ろうとする働き』と言えます。具体例を挙げると、本音では自分が嫌っている人に対して「私はあの人が嫌いではないがあの人が私を嫌っている」という考えが該当します。なぜこのような考えに至るのかというと、一般的に人間は社会的に望ましくない感情や考えを自分が持っていると思いたくないからです。だからそういった負の感情や考えを他人に転嫁して自身を守ろうとするのです。
その一方で好意的な感情にも投影は作用します。例えば、本当は自分が好きだと感じている異性に対して「あの人は私に好意を抱いている」「あの人が私を好きだから私も好き」という考えが該当します。世間でよく見られる異性関係のトラブルにはこうした問題が隠れているのかもしれませんね。
ここまで投影について説明してきましたが、他の防衛機制と比べても少々わかりにくい概念だと思います。上述したように防衛機制は人間の精神的安定を守るために働いていますが、それが過剰になると心のバランスが崩れて良くない結果を招く事があります。自身の中に沸き起こる様々な感情や考えに素直に従う事も必要ですが、時には『本当にそうなのか?』と立ち止まる事も必要ではないでしょうか。