リワーク困難事例のグループワーク(研修報告)
今回は、先日参加した集団認知行動療法研究会の内容を少し紹介したいと思います。
「うつ病等のCBGT(集団認知行動療法)における困難事例とその対処法」ということで
グループワークを行いました。
事例は、よくあるケースで、上司との考え方の違いから提案や意見が受け入れられず、
そのストレスからうつ病を発症、休職。
その後復帰するも、再び休職を繰り返した方のケースです。
「うつ病をきちんと治療したい」とリワークに参加されているのですが、
職場復帰については「上司が変わらなければ戻ってもまた調子が悪くなる」
「発症したのは上司のせいだ」と考えておられます。
また、生活リズムが当面の課題ですが、
夜遅くまでパソコンをするなどだらだら過ごすことが多く、
それを指摘した家族と口論になり「だれも自分のことを理解してくれない」
とイライラを募らせておられます。
職場の話になると「すべて上司のせい」「自分は変わる必要がない」、
「上司が変わらなければ職場復帰は難しい」と言い、
また家族との関係でも「相手が自分に合わせるべき」という考えが強く、
そこを変えようという意識は見られず、
「振り返って内省」「自身の捉え方のバリエーションを増やす」といった
リワークの課題への取組が消極的という点が問題ということでした。
このケースに対し、リワークスタッフとしてどう対処していくのか、
ということについてグループで話し合いを持ちました。
まず、ケースを出したスタッフの意識について問題提起がなされました。
「すべて上司のせい」と考えることを問題視している様だが、
本当にそれは問題なのか、どうか?ということです。
話し合いの結果、その”想い”じたいはごくごく普通のものであり、
スタッフとしてまずはそれをしっかり受け止める必要があることを確認しました。
そのうえで、「上司は変わるかも知れないが、変わらないかも知れない」。
それでも“職場復帰する必要性があること”をおさえたうえで
「この困難な状況をどう乗り越えるのか」という
新しい課題に意識を向けてもらう支援を行うべきという結論に至りました。
「気の合わない人と、なんとかやっていく」という課題であれば、
他の参加メンバーと共通の課題になるし、集団のテーマとしても良いテーマです。
それぞれの体験から、意見も出やすいと思われます。
スタッフとして、自分の考える“枠”や“筋道”から外れた場合、
ついついそこをメンバーの問題と捉えて、修正しようとしてしまいがちです。
しかしそうではなく、その背景にある”想い”をしっかりと受け止めたうえで、
参加者みんなにとっても取り組みやすい課題として、捉えなおす視点が大切だと思います。
今回のケースでも、わたしたちのグループが考えついたことが正解ではありません。
状況が似ていても、個々のケースでスタッフから提案する方法は変わります。
そして、どの方法を選択していくのかも、ケースの人によって変わっていきます。
そんな当たり前のことについて、もう一度考え直すことができたグループワークでした。